ロボットアームで遠隔サイン

joho19602006-02-21

昔、俳優の原田大二郎さんがサインというのは、「その著名人と時間と空間を共有した証拠なのだ」とテレビの中で言っていた。しかし、この場合、時間は共有することができても、空間を共有することにはならないだろう。カナダの女流SF作家マーガレット・アトウッドが遠隔地にいるファンにサインするためのロボットアーム「LingPen」を考案したというのをengadget日本版が記事にしていた。
アトウッドが自宅の書斎にいながら、ビデオ会議システムで遠く離れた会場のファンと会話をしサインをすると、会場のLongPenが同じ動きをしてサインをしてくれるらしい。遠隔で脳内血管の手術だってやっちゃう時代なんだから、確かにサインぐらいラクショーだろう。
 このロボットアームはアトウッド専用にしないで、書店とかに置きっぱなしにして、遠隔サイン会用ロボットとしていろんな作家が利用するという使い方もありそうだ。しかし、ますますありがたみがなくなるか。せっかくなら、サインだけでなく握手やジャンケンなどもしたらいい。村上春樹と指相撲、綿谷りさと指切りとかね。
 それ以上に期待するのは、ある日、誰も操作していないのに、LongPenが勝手に物語を綴り始めることだ。それは、奇跡の大恋愛小説か、人類の起源を明かす創世記となるのか……


カンバセーション―アトウッドの文学作法

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